80歳を超えて よりよい人生を送る人(2/2)

2023/7/10

80歳を超えて よりよい人生を送る人(2/2)

 北村弘之  

【できるだけ、人と交流する機会を楽しみたい】

人はお互いに支え合って生きていくものだとつくづく思います。まさに「人」の文字のとおりです。人との出会いは私の宝ものです。60歳を過ぎてわかったことは、人との出会いが新たな道を切り開き、そして成長させる原動力になっていることです。キャリア理論では「キャリアの80%は偶然の出来事によって形成される」というようです。偶然を活かす心構えも大切です。趣味でも仕事でも、そして人生においても「好奇心」は人との交流から生まれてくるのではないでしょうか。

Iさん(80歳) 定年後の仲間作りの上手な人です。ふつう定年後も会社員時代の仲間との付き合いが継続されますが、Iさんは、もっぱら地元の人やそのつながりの紹介で知り得た人といろんな趣味を堪能しています。当初は地元のスポーツサークルに入会し、つながりを拡げたようです。山登り、卓球、テニス、最近はサークル活動で絵を描いているようで多様な趣味を楽しんでいます。そして多くの人との付き合いの中で、自分に見えてなかったよいところなども見えてきて前向きな過ごし方をしているように思えます。多分、現役時代以上にスケジュール管理が大変なのではないかと推測しています。

Aさん(87歳)は、現役を退いたあと、地元の自治会活動、そしてボランティア活動を積極的におこなっており、現在では私も仲間の一員として、ゴルフに誘ってもらっています。本人はコースに出るのは毎週。それだけ多くの人に呼び掛けているのです。ゴルフが好きということもありますが、この活動の根底には「人と人との交流を地元に活かす」ことにありそうだと私は思うのです。同年齢のゴルフ仲間は少なくなり、地元の人に呼び掛けることは中々できないものです。いつもコースに行く前の車中での話などを通じて私は元気をもらっています。

Iさん(73歳)は、私の2社目の現役時代に一緒でした。一緒に仕事をしたことはありませんが、飲み会などを通じて人柄のよさ、面倒見のよさが目立った人でした。そんなこともあり、Iさんの定年後は福祉関係の仕事に就き、仕事先では民間企業で培った企画などの提供とよい影響を与えたようです。その後私の仕事も手伝っていただきました。現在仙台に戻りましたが、やはり多くの仲間と一緒に畑で作物を作っているようです。毎年の年賀状には家族の微笑ましい写真を載せてきます。多少不自由な身体になったようですが、本人の持ち前の人柄が多くの人の輪で盛り上げているようです。

【何か人の役に立ちたいと思う】

人は若いとき、何でも自分でできると思って社会生活を送っています。これは、自分を奮い立たせるという良い面(自立)もあります。しかし多くの人との社会生活を送っていくと、必ずしも一人では生きていないことを実感するときが訪れます。私の場合は、人生の節目ごとに感じてきました。それが、積み重ねっていくと、家族以外の人のためにも役に立ちたいという気持ちが沸いてきました。

Sさん(81歳)は、私の人生の転機を指南していただいた人です。私が3社目の55歳時にあった会社内の「ライフプランセミナー」の講師でした。名称の通り、将来の人生設計を考える2日間でした。このセミナーを受講後に会社を退職することにし、同時に会社員を辞めることを決断したのです。そして1年後に再度お会いする機会を得て一緒に仕事をすることができました。現在Sさんは、ボランティア活動として保育園や教会、老人施設での「紙芝居」の上演を通して多くの人に楽しみを提供されています。上演を通して、子どもの素敵な笑顔を見たり、そしてお年寄りの方には小さい時の思い出が思い起こされるようです。その他、趣味は多彩で現在でもテニススクールに通い、ハーモニークラブ(音楽)にも参加されています。私は一緒に話す機会をいただくと、本当に懇切丁寧で何か人の役に立ちたいということが身体から表現されているのが印象的です。

【まとめ】

80歳を超えてよりよい人生を送られている人は、今回挙げました4つの項目の一つだけでなく、殆どをカバーしていることを書いていて改めて感じました。もちろん、身体や精神力も充分に備わっていないことにはできないと思いますが、逆に4つの項目があるから身体や精神力を維持しているのではないかと思われます。

以上