熊野三山

2023/5/30

「熊野三山」 2/3

–熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社–

 北村弘之  

神々が棲まう自然崇拝の聖地「熊野」を訪ねての2泊3日の紀行記。

2回目の今回は「熊野三山」です。

旅をしてみるとガイドブックにないことなど現地で初めて知る、聞く、感ずることがあってよいものです。

その一つは熊野三山の主祭神です。昔から参詣者は中辺地から本宮を、次に熊野川下って速玉、そして那智を参ったとようです。まず本宮では「来世を知る」、速玉では「前世を知る」、そして那智は「現世を知る」といった、いわば参詣者の「新たな人生の出発地」として自然崇拝の場所となっていました。そのため、険しい山岳地に社殿が建立されているのです。現在では電車やバスなどを利用して巡りますが、自分の足で歩いた当時を思うと、自分探しの旅のような感じを受けます。

私的には、今こうして生きているのは、先祖のおかげ、そしてこれを次の命にリレーしていくことが「新たな人生の出発」と感じた次第です。

我々も、昔の人と同じように一日目の本宮参詣に続き、二日目には熊野川を舟で下り、速玉大社に参詣、そしてバス等も利用して那智大社を参詣しました。那智大社参詣では麓の大門坂から530段の階段をのぼりきり、ちょっとした苦行を経験しました。多くの参詣者はバスの利用でしたので大門坂の登りで出会った人は10名程でした。リュツクを背負っての階段昇りですので大汗をかきながら、幾度となく休憩をとりました。大門坂を昇り終わると社殿に行くにはまた階段、そしてまた階段の連続です。ようやく那智大社に到着です。

境内では小学生のこどもは元気にしていましたが、我々は休憩です。参拝後に隣にある那智山青岸渡寺(せいがんとじ)に参り、いよいよ那智の大滝へ。ここは長い下り道でしたが、青岸渡寺の境内から見えた大滝が元気を取り戻してくれました。

これまで那智の大滝は映像等を見て知っていましたが、間近で見る滝の迫力は違いました。周りの木々や岩肌にしぶきがあたり見事なものでした。おもわず高さ133mの滝を眺めていました。延命の水を得て本日の宿泊地の那智勝浦に向かいました。

サッカーと熊野三山と聞けば、「八咫烏(ヤタガラス)」です。現在、日本サッカー協会のお守りシンボルとなっています。ここ熊野三大社の神の使者です。八咫烏は太陽の化身で、三本の足があり、この3本の足はそれぞれ天・地・人を表すといわれています。また八咫烏の咫(あた)は寸や尺といった長さを表す単位の一つですが、八百万が「たくさん」を意味するのと同様、八咫は「大きい」を意味しています。大社のお守りとして買い求めました。