熊野古道を歩く

2023/5/26

「熊野古道を歩く」 1/3

–中辺路 発心門~本宮–

 北村弘之  

神々が棲まう自然崇拝の聖地「熊野」を訪ねての2泊3日の紀行記。

早朝、横浜の自宅を出たのち一路羽田から南紀白浜空港へ。空港に到着後9時30分頃のバスに乗り、熊野大社本宮のバスセンターに着いたのは正午近く。バスセンターには個人旅行の多くの外国人。そして数少ない日本人の我々。そしてバス団体旅行の人々。まさに世界中から世界遺産の地を訪れているのです。

熊野本宮への道には、中辺路(なかへち)、大辺路、小辺路とあり、我々は紀伊田辺から熊野本宮に向けての中辺路の一部分の古道を目指しました。その昔、京から12日間をかけて熊野本宮詣をしたとのことで、中には途中で亡くなった人もあり、その場所には地蔵さんが祭られていることを地元の人から聞きました。熊野大社は、平安時代から上皇や貴族の信仰が高まり、その後武士や庶民までに広がり誰もが受け入れる熊野権現になったとのことです。現代と違って神にすがるしかなかった信仰が、この遠い道のりを行くことによってまさに難行苦行を体験することで身の浄化を図ったようです。

バスセンターの近くにある熊野本宮大社の周辺は、深い山々が延々と連なり一面多くの大木の杉で覆われていました。ここからさらにバスで15分揺られ、古道歩きの最初の地「発心門王子(ほっしんもんおうじ)」に到着。ここは熊野本宮の神域の最初の地とされているようです。ここから、熊野本宮に向けて古道歩きの開始です。このルートは初心者でも歩きやすいとされていましたが、山ですので上りあり下りありの古道の3時間でした。歩き出しは人家の並ぶ舗装された道を歩き、そのうちにまっすぐと伸びた杉林に囲まれた道に入っていきました。鳥のさえずりが聞こえる中、水呑王子から伏拝王子まで進み、ここの茶屋で一服。その後茶屋の人教えてくれた「ちょっとよりみち展望台」までを歩きました。ちょっとよりみち展望台では、以前熊野本宮大社があった「大斎原(おおゆのはら)の大鳥居」が見え、木々の間から見える大鳥居付近の景色には神々しいものを感じたものでした。その後再び歩き初め、熊野本宮大社の背面に到着しました。

  本宮でのお参り時には、相当足腰にきていましたが見事な社殿に手を合わせ拝礼しました。

本宮から参道を降りるにはまたもや150段の階段。疲れはさらにたまってきました。それでも、高さ34mの大鳥居を観に大斎原まで歩きました。ちょうど田植えが終わった時期で苗の緑と周りの木々の緑。そして隣を流れる熊野川の水の色と、まさに絶好の景色となっていました。ここにも多くの外国の人がリュツクを背負って歩いていました。

 夕方になり、本宮の近くにある3つの温泉地の一つ川湯温泉で宿泊です。疲れた足を温泉で癒し翌日に備えました。