植物画展を訪ねて

2023/5/7

「植物画展を訪ねて」

–野村陽子さんと星野富弘さん–

社会福祉士 北村弘之  

5月連休前に「植物を描く」作家お二人の作品展を鑑賞してきました。きしくも、この4月からNHK朝ドラ放映の「らんまん」のモデルとなった植物学の父と言われた牧野富太郎氏との縁を感じます。

細密画家 野村 陽子さん

植物の細密画を描き続けている野村陽子さん。

作品展は、長野県伊那市にある「野村陽子植物細画館(常設展)」です。会場のプロフィールには、このようにありました。子どもが大きくなった後、夫に「自分の好きなことをやってみては・・・」との言葉があり、独学で好きな植物を描くことにしたというのです。美大を卒業していたこともあり、その天性が開花したともいえます。今では自宅(長野県清里)の畑に、描きたい植物を植えてお世話をし、細密画を描いているとのことでした。また、活動範囲を広げるために、南大東島(沖縄県)に4年間住み続け、亜熱帯植物を描き、その後瀬戸内海の島でも活動しています。

彼女の絵の特徴は、描きたい植物を根、茎、葉、そして実、花すべてを細密画としていることです。私は、「根」の描き方に惹かれました。植物の花はきれいですが、その源は「根」にあることを表したいのではないかと思われます。下の絵は「ジャガイモ」です。見事なタッチです。

会場で細密画展を観るのは2回目でしたが、野村さんは、私と同年ということがわかり、自分を発奮させるよい機会になりました。 下図は「絵葉書集から」

詩画作家 星野富弘さん

星野さんは今年77歳。教師になりたて時、クラブ活動で体操の模範を披露した際に誤って頭から転落し、頸椎を骨折、頚髄を損傷し両足と両手が麻痺しました。その後、母親の献身的な支えと本人の前向きな生活で入院中の’72年には、口に筆を加えて文章や絵を描き始めたということです。

今回は、富士見町(長野県)で誌画展があり、その作風を感じてきました。(常設展は本人の地元群馬県みどり市にあります) 

不自由があっても、その詩には花や動物を想いながら、本人の想う気持ちを表しています。詩画ですので、絵の中に詩があり、一枚の作品となっています。今回の作品展は、創作時のものから2016年迄の約60点がありました。会場では作品を一点ずつ、絵とともに力強いそして癒される詩を味わいながら、素晴らしい時間を過ごすことができました。  下図は「花の詩画集 鈴の鳴る道」より

以上