働き盛りの人の「親に介護が必要になったら」
「どのようなことで介護が必要になるか」 No.1 発行4/25/2021
働き盛りの45~60歳の間に、多くの人は親に介護が必要な状態になっています。これは、日本人が長寿になってきたことに大きな要因があります。また、過去のような家族3世代で生活しながら、家族同士や親族で年老いた親の面倒を見ることが少なくなったこともあります。
しかし、働き盛りの人は企業などの組織内活動ではベテランの域に入っており、しかも組織を牽引する立場にあり、なかなか休むこともできないのが現状です。
そのような中、介護は突然やってくるのです。出産は計画的な予定を組めますが、介護はそうはいきません。年老いた親は、ちょっとしたことでも足をひっかけたり自宅内で転倒したりします。そして救急車で病院に移送されます。そのあとに病院から子どもに電話があるのです。「あなたのお父さんが転倒して大腿骨を骨折したので当病院に入院中です」と。
家族での介護は、病院から退院したあとに発生するのです。このような状態になったとしても、慌てずふだんからどのような相談先があるのか、どのような介護サービスがあるのか、お金の負担はどのくらいなのか、仕事は休まなくても何とか介護を続けていく就業規則があることなどを知っていることが大切と考えています。
今回のシリーズでは、「親に介護が必要になる前」に知っておく、ちょっとしたヒントを掲載しております。是非参考にしていただければと考えています。
【テーマ連載項目(7回シリーズ)】
- どのようなことで介護が必要になるか
- 介護が必要になった時の相談窓口
- いろいろな介護サービス
- 介護認定申請手続きを理解しましょう
- 働き続けるための工夫
- 男性の介護5か条
- ひとり暮らしの親のためにできること
- どのようなことで介護が必要になる
元気な若者でも、事故にあったりして腕や脚を骨折したことで、家族などから食事を食べさせてもらったり、排泄や入浴の介護を受けるのと同じように、高齢になると身体機能の低下や認知症により、誰かに介護を受けて生活していくことが多くなります。
若者と高齢者の違いは、前者は回復性が高く介護は一時的であることの反面、後者は介護の頻度の上下はあるものの継続していくというのが特徴です。
下記のグラフを見て下さい。(図1-1.) 介護保険の認定者の原因分析したものです。
「認知症」が一番です。判断や手順を間違えることが多くなったり、暴言を吐いたり、不要な声出し、衣服の着脱ができなくなったり、徘徊したりして介護が必要になります。次が「脳血管疾患(脳卒中等)」です。片麻痺等になり、手足が不自由な状態になり介護が必要になります。4位が骨折・転倒ですが、コロナ禍で体力筋力の低下で自宅内での骨折・転倒が増えているとの報告があります。
(図1-1. 介護が必要になった原因 厚労省平成28年)
ところで介護は、「ある日突然やってくる介護」もあれば、「日常生活の中で徐々に始まる介護」もあります。
「ある日突然やってくる介護」とは退院後の介護です。それは、脳卒中や骨折・転倒によるものです。現在の医療制度は治療やリハビリが終わると、退院また転院という対応になり、ようやく歩くことができた人にとって自宅で生活することは容易ではありません。そのような時にはどうしても誰かの力を借りることが必要になってきます。具体的には、食事の準備や買い物等の毎日の生活を過ごすための生活支援が必要になってきます。また、入浴や排泄等の身体介護も必要な人もいるでしょう。髪や服装が乱れている、季節に合わない服を着ている。お店の支払いをお札で支払い、お財布に小銭ばかり入っている。冷蔵庫に同じ物ばかり多量に買っている等です。
また「高齢に依る衰弱状態」では家の中で、家具や壁につかまり移動している。重い物の買い物に行けなくなった等ご家族の「見守り=介護」が必要になります。このように誰かの力を借りる場合(介護)の相談窓口や介護のサービス内容について今後ご紹介していきます。
このように誰かの力を借りる場合(介護)の相談窓口や介護のサービス内容について今後ご紹介していきます。
以上
印刷はこちら→親に介護が必要になったら NO.1