働き続けるための工夫

働き盛りの人の「親に介護が必要になったら」

今回のテーマ「働き続けるための工夫」  No.5       発行8/25/2021

親に介護が必要になった時、その子供である人の多くは50歳前後で、その多くの人は仕事の中心的な役割を担っている人なので、すぐに親の面倒を見ることは困難です。また親の介護ために仕事を辞める人がいますが、その結果収入が減り、経済的な困窮が一層増しているという統計が出ています。介護の期間は、人それぞれですが約半数の人は4年未満という統計があり、平均では約5年です。(下図)

5-1.介護は何年続くか 図

厚労省の統計では、介護を機に仕事を辞めたあとの変化を調査した結果があります。これによると、辞めたあとでも精神的な負担は65%の人に負担が増した。また肉体的には56%の人に負担が増したとあります。経済的には80%近くの人に負担が増えたとあります。

つまり、介護のために仕事を辞めたことで逆に精神的に肉体的に、しかもお金の面でも負担が増しているということです。(下図)

5-2.離職時の変化 図

ここでは、働き続けられる制度をご紹介します。

一つは、このような社会的事情を考慮した「介護保険制度」です。是非この制度をうまく活用したいものです。第2回目にあったように「相談窓口」を訪れ、現状の問題を訴え、どのようにしてほしいかを説明することで適切なアドバイスを得ることができます。

もう一つは、働く人にとっての「介護休暇と介護休業制度」です。勤務先の会社の就業規則にありますので上手に利用してみることです。制度利用の前に、職場では、親などに介護が必要になった際、自分ひとりで悩みを抱えずに上司や人事部に事情を話すことが一番大事です。それは仕事の調整や休暇のとり方につながるからです。

また、有給休暇は給与の保証がありますが、介護休暇(原則、年5日)と介護休業(原則通算93日間)は残念ながら法的には無給となっていますが、介護休業の場合は雇用保険から67%の給付があります。法定上の93日間の介護休業の期間は、福祉や介護の専門家に相談する時間で、親の精神的な支えに充てます。介護は長期戦です。決して自分で介護する時間ではないことを意識しておきましょう。

一度、自分の会社の就業規則を見ておくことはよいでしょう。

以上

印刷はちら→親に介護が必要になったら NO.5