おひとり様の老い支度 ④ 健康と老いのリスク病気

今回のテーマ 「健康と老いのリスク病気」   4回目

        発行7/25/2020

社会福祉士 北村弘之

老後を元気で過ごすことは誰もが望んでいますが、平均寿命が延びている現代にとって、長生リスクを考える必要があります。その一番は「病気に罹る期間が長くなる」そして同時に「介護のお世話になる期間も伸びる」ということです。

そのため最低限の健康を維持するためには、できるだけ医療にかからず自助努力できることが一番望ましいです。規則正しい栄養のある食生活、そして丈夫な歯を維持することは自助努力のひとつです。また、長期にわたる「薬」での治療は考え物です。我々にとって医師の存在は絶対的なものですが、医師の中村仁一氏(京都在住)は、「医療者は脇役で、お手伝いするお助けマン、薬はお助け物質、器械はお助けマシーンである」そして、「本人に治せないものを、他人である医者に治せるはずがない」と。また中村氏の好きな学説に次の言葉があります。「治療の根本は、自然治癒力を助長し強化することにある」

本人の身体のバロメーターは自分自身が良く知っています。健康は病気になって初めて知るものです。本人が健やかでありたいと願う気持ちが病気に打ち勝つことに通じるのではないでしょうか。

さて、「健康寿命」という言葉を最近よく聞きます。これは、日常の生活において不自由なく過ごせる期間のことです。(下図参照)

 おひとり様 図 健康と老いのリスク 2

60歳の男性の場合を例にとると、健康寿命の72歳と平均余命23.8歳を考慮した平均寿命83.8歳の差は約12年(83.8歳-72歳)となり、この期間は日常生活に制限のある生活を送らざるを得ないというものです。

平均寿命が延びたとは言え、諸先輩の話を聞いてみると60歳、65歳、70歳、75歳、80歳と階段を一段ずつ降りるように体力が落ちているようです。人間は、経験から学びながら生活してきました。若いときと同じように行動ができると思いがちですが、実際には体力は確実に落ちていることを自覚する必要があります。

さて、おひとり様にとって、健康を阻害する要因の一つに「人とのつながり」の薄さがあるようです。女性は、年齢を重ねてもおしゃべりの機会が多く会話が弾んでいるので、刺激を受け前向きな人生を送れるのでしょう。しかし、男性の場合はそうはいかないようです。

下記の調査結果は、それを物語っているように思えます。おひとり様の健康リスクは、人とのつながりが高い(コミニユケーション)ほど少ない結果が実証されています。

会社人間である人には、現役のうちから積極的に地域生活のお手伝いや仲間との外出等を通して刺激ある生活に努めることで心の健康に拍車がかかることでしょう。

 4回目 健康と老いのリスク2

 印刷はこちら⇒老い支度 おひとり様 「健康と老いのリスク病気」③

行ってみたい美術館

7/5/2020

北村弘之

 日本には、約6,000に及ぶ美術館や博物館があると言われています。東京国立博物館(トーハク)ような、日本や東洋の文化財や美術品などを収集保管し、それを一般の人向けにも展示している大型のものから、個人の作家品のみを収集・展示している独自の美術館、また財産をなした人が収集したものを後世の人のために展示している美術館等様々あります。目的をもって訪れる人は、特別展示してあるものを見てそのひと時を満喫する人もいるでしょう。また、訪問先でぶらっと訪ねた美術館に心を奪われる時間を過ごす人もあるでしょう。

さて、今回は独自性のある2施設をご紹介しましょう。

【江之浦測候所】

施設名に測候所とありますが、気象等を測定している場所ではありません。施設パンフレットに作者はつぎのように設立の趣旨を書いています。「古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった」

場所は小田原市の根府川駅に近い、太平洋の海原を見下ろす小高いミカン畑を切り開き、創り上げた施設です。丘には文化的な石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門などを日本各地から集めており、現在では継承が困難になりつつある伝統工法を再現して移築構築されています。

特に、趣旨にあるように、春夏秋冬の時間を知ってもらうため、春分と秋分の日しか見られない「日の出」の構造物、夏至の時の「日の出」の棟(100mギャラリー)、そして冬至の「日の出」の棟(光遥拝隧道)があります。古代人が時間を知る上での大切な原点を構造物で表現しているのです。この構造物からみる太平洋に何とも言えない自然のエネルギーを感じ取りました。

まさに、創設者の杉本博司氏の想いがこもった「心落ち着く空間」でした。

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 夏至の時の遠く「日の出」が一直線にみられる100mギャラリー

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 冬至の時、日の出が一直線上に見られる「遥拝隧道」

 【薮内正幸美術館】

ここは、日本では唯一の動物画の美術館で、美術館の名前のとおり薮内正幸氏の細密動物画の展示作品であふれています。場所は山梨県北杜市の山合のひっそりとした中にあり、きつねや鹿が出てきそうな場所です。木のぬくもりを感じる建屋の中には、作家の描かれた細密画の作品や動物の表紙で飾る絵本が多くあり、動物画一色です。作品の動物画は、テレビや新聞広告で賑わっていたこともあり、年配の人には見覚えがあるかと思われます。また絵本の表紙を飾る動物画が見て、この絵本は小さいとき読んだことがあると思われる人もいることでしょう。

本当に小さな美術館ですが、係の人との会話を通して、動物画を見るひとときもよいものです。

薮内絵本

印刷の方はこちらをクリックしてください。行ってみたい美術館 20200705

おひとり様の老い支度 ③お金と長生きリスク

今回のテーマ 「お金と長生きリスク」 3回目

          発行6/25/2020

社会福祉士 北村弘之

1回目のテーマの中で、老い支度を考える上で「こころ、からだ、すまい、おかね」がキーワドと記述しました。今回は「お金」のことです。これは平均寿命が延びたことによる長生きリスクと大いに関係します。

現役時代は、安定した給料収入があり、入ってくる分支出も多くなっていきます。特におひとり様は、自分で稼いだものを自らが使えるということから、給料等を旅行や趣味といったレジャー費に支出することが多いようです。もちろん倹約している方もあるかと思います。しかし、定年後のセカンドライフにおいてそのようなわけにはいきません。定期的な収入は年金が中心となるからです。

ライフプランセミナーでは、参加者に「ねんきん定期便」を持参していただきますが、その第一声は「年金額はこんなものですか?」という愕然とした表情です。当然現役時代の収入から見ると半分以下だから驚きは当たり前です。まだこの段階で気がついた人は、今後の対策をとることに目覚めることができたからよいものです。

セカンドライフ時代に入ると、健康保険、介護保険といった社会保障費は、現役時代の会社の半額負担と異なり全額個人負担となります。次に税金です。年金も所得税の対象ですので、住民税と合わせた支出となります。

セカンドライフの生活を考える上で、大切なことは、現在の収入(殆どは給与所得)と、支出内容と金額(食糧費、住居費、交通費、レジャー費、ローン等)を一度明確にすることです。そして、将来の収入である年金額と照らし合わすことです。

よく言われる、「マネープラン」の作成です。支出項目の中心での検討項目は、「ローン返済」、「生命保険」と「リフォーム関係」の費用です。定年後の70歳過ぎにローン全額返済といったものがあれば期間を前倒しすることを検討しましょう。また生命保険も同様です。おひとり様の死亡保険は誰に保険金を渡すのでしょう。

3回目 長生きリスク1

 

そして持ち家住まいの人は、住宅設備のメンテナンス費用を計上していくことも必要です。一時的にせよ、何十万円という単位で費用が発生します。

前頁の図は「65歳以上のひとり暮らしの暮らしぶり」を収入と支出額を表しています。総務省の統計では、毎月3.5万円が不足しており、平均寿命の85歳まで生存すると単純計算852万円不足し、それ以上長生きすると1,277万円不足するとあります。これはあくまで日本国民の統計的数字ですので、おひとり様は自分の「マネープラン」を作成して不足額を算出してみましょう。不足額がわかったら、今からどのように対応したらよいか検討してみましょう。定年時の退職金もあります、また継続して働くことで収入をえることもできます。また現役時に蓄えた預貯金や投資もあるでしょう。不安を消すには、自分なりに納得する作戦を立てることが早道です。リタイア後では遅すぎます。

ある人から聞いた話です。年金暮らしになった途端、極端に生活を縮小させてしまった人がいました。理由は「老後のために!!」 今、まさに老後なのですから、これまでの預金で生活費を補填して、収入が少なくても少ないなりに、その人らしい生活を送ればよいのにと思ったことがあったそうです。そして、その人が急死されたときには1000万円を遺して逝かれたのです。その人は友人に新聞の購読は止め、テレビだけにしたこと。そして体力が無くなったので旅行は止めたとのことを話していました。新聞は脳を活性化してくれる材料です。また旅行は季節を感じたり、美味しいものを食べたりできます。その人はそうしているうちに、こころの元気が無くなったのではないでしょうか。

また、現在の現役世代の年金受給開始年齢は65歳です。定年時期が60歳であれば、受給開始迄継続して働くことも選択肢になります。これはお金を得ることばかりでなく、現役時代と同じように日常的な「話し相手」の存在があることも重要な一部となります。下記図は、第一生命の谷内陽一氏の発表したものを編集したものです。この中には、60歳定年後も働くこと、また65歳からの年金受給開始時期を繰り下げ、70歳以降にすることで40%の増額分を得ることをあげています。(注意:繰下げを行うことで、繰下げ後の年収が一定以上になると健康保険料、介護保険料、住民税が予定より上がることがあります) 平均寿命はますます延びていきます。誰も自分の命の限度はわかりませんが、長生きリスクを改めて考えてみましょう。

自助努力することで新しい道が開かれてくることでしょう。

3回目 長生きリスク2

印刷はこちら⇒老い支度 おひとり様 「お金と長生きリスク」②

おひとり様の老い支度 ②生きがいと人生観

今回のテーマ 「生きがいと人生観」 2回目

発行5/25/2020

社会福祉士 北村弘之

仕事を持っているときは、精一杯仕事で頑張ることはよいことでしょう。しかし50歳代で一度立ち止まって会社定年後の過ごし方を模索してみることが大切です。仕事の経験や知識・知恵を活かした活動が定年後も活かせることはいろいろあります。特に男性は、仕事人間が多いようですので、定年前から地域活動や趣味を活かした活動ができることが定年後の人脈作りなどに役立ちます。

また、定年後には、地域の集まりに積極的に参加することで、自分と気の合う人との出会いが将来に思わぬ好影響を与えることもあります。その際、現職時の肩書や会社名は出さないことです。定年後は全員平等なのです。地元には、シニアサークルやボランティア活動がいっぱいあります。また若い時にやりたかったことなどの趣味に時間を割くことも可能なのです。

さて、組織から離れれば自分のやりたいことができるのです。作家の五木寛之氏は「林住期」とい本で表しています。定年後はまさに「人生の輝かしい時代」であると。今のうちに自分の特性、行動パターンを知ったうえで、定年後の目標を立てることは大切です。「どのように生きたいか」それはあなた自身のことであり、あなた自身しかできないことなのです。

何をやりたいか、何が得意か、何を楽しみたいのか、を何回も頭に描きながら、そして口に出してみることです。そうすることによって、漠然としたものも少しずつ具体的になっていきます。幼少時にやりたかったことを思い出すこともひとつでしょう。いずれは、会社人間を卒業するわけです。 下記は私の描いた人生観です。(生涯の歩み)2回目 生きがい1

 会社に勤めている方に、是非知っていただきたいことがあります。それは、会社組織で働いてきた時間より、リタイア後の時間、つまり自由度のある時間が圧倒的に長いということです。

 

あなただったらリタイア後「誰と、何処で、何をして過ごしますか」

 

    【60歳以降の切換をどうおこなうかがポイントです】

60歳迄  ワークキャリア > ライフキャリア➡ワークキャリア(仕事)優先

60歳以降  ワークキャリア < ライフキャリア➡ライフキャリアにシフトする

 

下記の図(「仕事時間より長いリタイア後時間」)を参考にして見て下さい。

2回目 生きがい2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一日の時間割を立案してみることで】

自分を想ってくれる人がいないと寂しさが募りますね。ましてや、おひとり様はひとりでいる時間が長いのでどうしても自宅に引きこもりがちになります。ある人がこんな工夫をしていましたのでご紹介しましょう。それは、一日の「生活時間割」を作ることです。学生時代の教科の時間割と同じです。セカンドライフ時代でも同様、自分の時間(やりたいこと)、仕事の時間、友人とのおしゃべりの時間を作り、明日は何をするか前日に計画するのです。計画ですので、できなくてもよいのです。自分の想いを時間割の中に入れていくだけでも楽しいものということでした。特に”外”に出て目や耳といった五感で刺激を受けることがよいと言っていました。ちなみに、私も同様なものを作成して毎日を過ごしています。すると、いろいろと考えていることが整理でき、うまく運ぶようになりました。

印刷はこちら⇒ 老い支度 おひとり様 「いきがい」①

おひとり様の老い支度 ①はじめに

今回のテーマ 「はじめに」

                                          発行4/25/2020

社会福祉士 北村弘之

50歳を過ぎると、何かの機会に「老い支度」を考える人がいます。ライフプランセミナー後に、「私は独身で将来のことが不安なので誰に相談すればよいでしょうか」 とか「兄妹はいるものの兄も独身ですので、いずれ私は独りになりますので何か社会的な支援の制度はないでしょうか」といった相談があります。

しかし、おひとり様は決して独身者だけのものでなく、配偶者のある人もいずれはどちらかがおひとり様になるのです。そのような想いから、40~50歳代のサラリーマンを想定した「おひとり様」を対象に、安心した生活を送るうえで考慮しておいたほうがよいことを次回から11回シリーズでお届けします。現役の40~50歳代のおひとり様には、定年後のことを踏まえて、また60歳以降のおひとり様にも参考になるテーマを選んでいますので、どうぞ活用いただければと思います。

(但し、11テーマは全てではありませんのでご了承下さい)

今回は、初回にあたりテーマの紹介等、私の想いを記しました。

【テーマ(11回シリーズ)】

  1. 生きがいと人生観
  2. お金と長生きリスク
  3. 健康と老いのリスク病気
  4. 健康寿命とともにやってくる介護事情
  5. ひとり暮らしの住い方
  6. 財産・不要品の扱い
  7. 延命の意思表明
  8. 遺言書と死後事務委任契約
  9. 葬儀と墓守
  10. いろいろあるセーフティネット
  11. 任意後見制度と法定後見制度

 

【老いに向けて】

老いは、おひとり様に限らず誰にもやってきます。たまには一人になって立ち止まって考えてみるのはどうでしょうか。どの年代でもそうですが、「人生は心がけ次第」です。ある人の言葉です。

◇避けて通れないことに、しっかり取り組む  ➡ 頑張り

◇叶わない夢は求めない  ➡ 割り切り

◇人の気持ちを受け止める ➡ 思いやり

◇想定外、まさかに備える  ➡ 段取り

◇孤立は避けて、孤独を味わう ➡ ゆとり

特に、社会から切り離されるような生活(孤立)は、何としても避けたいものです。

【はじめに】

誰もが、両親の間に生まれ、学びの時に師に巡り合い、友人とともに励まし合い、社会人になってからは組織の中で仕事に励んできました。そこでも大切な友人を得てきました。しかし、「会社定年」を迎える前の50歳代になると、定年後の長い将来の不安がよぎってきます。

私の父の時代(大正13年生)の定年は55歳で、当時(‘80)の平均寿命は73歳でした。しかし、2018年の平均寿命は男性81歳、女性87歳です。そして現在50歳代の人は、それぞれ90歳近く、100歳近くの寿命となるのです。60歳で定年とするとその後何と男性では30年、女性では40年を過ごすことになります。これを長いと感じるか、また短いと感じるか・・・・。

さて、「50歳時のおひとり様」の方には、2通りのパターンがあるのではないでしょうか。一つめは自分の想いや信念があって独身を通している人。二つめは、家族の世話(高齢の親の面倒や家族の介護)といった、やむにやまれず独身で過ごしている人、また、将来の不安からどうしても一人暮らしを送らなければならない人もいるでしょう。前者は将来の人生設計をしたうえで「覚悟」を持って生活を送っている人です。このような方はいろいろな情報収集をして自分なりの満足ある生活を送ることに人一倍研鑽していることでしょう。しかし、後者は自分ではどうにもならない社会や家族環境にあり、社会保障制度ばかりでなく、社会全体で助け合うことが大切になってきます。いわゆる共助です。

今回テーマとして11項目を挙げていますが、個々の「おひとり様」は、この中から何か「気づく」キッカケを探っていただければと考えています。

私が会員であるNPO法人のスローガンは『老い支度「こころ、からだ、すまい、おかね」』です。一番目は「こころ」で、4番目が「おかね」となっています。一人暮らしで、一番大切なのは「おかね」より「こころ」だからです。つまり、どう生きるかという気持ちが表れているのです。人生長生きすれば、おひとり様になることは避けられません。

自分自身が事故や不意の病気で動けなくなった時

頼れる人がいますか? そしていろんな社会的サービスがあることを知っていますか?

わけもないさみしさ

死ぬのではないかという根拠のない不安

そして自分のまわりには誰もいない

それらをはねかえす「強い気持ちを持てるか、持てないか」

持てないなら、是非事前に準備しましょう!!!

印刷はこちら⇒老い支度 おひとり様 「はじめに」⓪

作品の紹介です。

(写真は私と同じNPO法人で活躍の伊藤忠直さんの作品。

定年後の趣味の世界に没頭です。

 2019年11月1日 「第22回 全日本バードカービングコンクール」初級の部でレッドリボン(2位)を受賞。)

1回目 はじめに(カービインク゛)

牛に引かれて善光寺参り

2020/1/25

牛に引かれて善光寺参り

社会福祉士 北村弘之

 

「牛に引かれて善光寺参り」ということで、仕事に引かれて信州善光寺の初参りをしてきました。(仕事の合間) 当日は、粉雪が舞い踊る中の大寒。山門の温度計を見ると0度。それでも多くの善光寺参りの人で賑わっていました。歴史的にも古く、建立は642年と何と1400年前。一時、御本尊が各地に回ったことで、日本の443か所に「善光寺仏」があるとのことです。

長い表参道の門前では、地元のおやきや食事、お土産ものを販売する店が軒を連ねています。門前の坂道を上り、ようやく本堂に入り頭を下げお参りです。さて、お目当ての「お戒壇巡り」です。仏様と縁を結び極楽往生の約束をいただくというもので、本堂の一番奥にある内々陣の床下に入るものです。注意書きに、「荷物は左手に持ち、右手で壁に沿って歩く」とあります。数歩歩くと、そこはまったくの暗闇。途中にある「極楽の錠前」を探り当てると縁が結ばれるということでしたが、とにかく暗闇の中を歩くことは初体験とあって、ドキドキでいつ出られるのか不安でした。途中、冷たい金属に触れたものが「極楽の錠前」だったのだと思いますので、仏様との縁が結ばれたと思っています。まったくの暗闇の「お戒壇巡り」でしたが、出口近くの小さな光を見てほっとしました。多分5分間ほどだったのでしょうが長く感じました。

帰りの新幹線の中で、善光寺のことを紹介した本を読んでわかったことですが、善光寺は、宗派を問わず、檀家制度もない珍しいお寺ということ。それなのに境内や本堂にはお坊さんがいました。寺には天台宗と浄土宗のお坊さんが共同で本堂を護っているとのことでした。これは大変珍しいことです。性別や身分を問わず誰でも受け入れてくれる庶民のお寺として、古くから「善光寺さん」と親しみをこめて呼ばれている所以かもしれません。そのようなことで当日は外国人の方も多く見られました。

善光寺には、七福神巡りもあり、門前の風情そして境内での法要で結構楽しめる場所です。今回は時間の制約がありましたが、今度また訪れたい場所であります。次回は宿坊(39か所)の一つに泊まって案内してもらいたいで す。                                 以上

印刷はこちら →牛に引かれて善光寺

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老い支度のひとつ「遺贈寄附」

2/26/2020

老い支度のひとつ「遺贈寄附」

社会福祉士 北村弘之

私は、後見人の仕事を家庭裁判所から受任しております。被後見人の方のうち数名の人が、判断能力があるうちに「遺言書」を作成しております。遺言先として、相続人以外の団体や自治体に寄附するものがありました。これらは、ご本人が生前に自らの想いを社会に役立てたいとするもので、遺贈寄附(遺言による寄付)と呼ばれています。

このように相続の受けとりがない方や親族がおられても疎遠なおひとり様が、亡くなったあと自治体や団体に寄附しようとするものです。相続財産が国庫に入るなら、お世話になった団体へ社会貢献したいという想いがそうさせているのでしょう。ちなみに、2017年度ではいわゆる相続人が不在で国庫に引き継がれた金額は何と525億円とのことです。

さて、それではどのよう送り先(遺贈先)があるのでしょうか。

・自治体等への遺贈寄付

・NPO法人や公益財団法人等への遺贈寄付

◇遺贈先のひとつ自治体寄附(遺贈)

自治体では生前ですと「ふるさと納税」が有名ですが、ここでいう遺贈寄附は亡くなったあとのもので、遺贈されたものは例えば保健福祉施設の修繕や、自然環境保全のため、教育振興のための目的用途に使われています。殆どの自治体は窓口を設置しており、遺言書の作成等にあたる専門家の紹介を行っているところもあります。詳細は各自治体のHPで参照できます。

また、最近では「ふるさとレガシーギフト」と称して生前に財産を銀行に信託し、死後銀行から相続人に財産を引き継ぐ「遺言代用信託」の仕組みができました。現在、奈良県生駒市と北海道上士幌町がおこなっており、こちらは遺言書の作成は不要です。

◇2つ目の遺贈先は

NPO法人や公益財団法人等といった団体への遺贈です。このような団体には様々なものがありますが、これも基本生前に遺言書に遺言先を作成しておくことが必要です。代表的な団体として、認定NPO法人国境なき医師団、公益財団法人ユニセフ、日本赤十字社、公益財団法人交通遺児育英会、公益財団法人日本盲導犬協会などがあげられます。最近、「全国レガーシギフト協会」が設立され遺贈先の紹介や遺言書の作成等を行う弁護士等を紹介しています。

(参考までに、認定NPO法人国境なき医師団日本の2018年の個人寄付額は78.8億円です。この金額には遺贈のみならず一般寄附も入っています)

◇遺贈寄附の想い

おひとり様で、身寄りがいない、いても「疎遠な親族に相続させるより社会に役立てたい」また「自分の意思で生前にどこに自分の財産を託すか決めたい」という想いの人が多くなっているようです。まずは、弁護士や司法書士、税理士等などの専門家に相談されるのがよいでしょう。自分の想いを託すという新しい老い支度のひとつになってくるのでしょう。但し、現金・預金等の他、不動産や有価証券等なども遺贈対象となりますが、不動産や有価証券は税金の対象となる場合がありますので専門家に相談することがよいでしょう。

以上

印刷される方はこちら→遺贈寄附とは

時代が変わっても生きるメッセージ(10)

リーダーへの心得 (35)

※ ビジネスとは、人をよろこばせること       (バンダイ)

  • 出会いはすべて、自分の中で長年のあいだ蓄えてきたものと、出会った他者とのせめぎ合うところに生まれる。単にすれ違ってしまう場合も多々ありますが、本当の出会いも人生には何度かあります。それまでの自分を大きく変えてしまうほどの、そんな出会いに遭遇するためには努力が必要です。 (文化人類学者 西江 雅之)
  • 異分野との交流が足し算ではなく、かけ算の効果を生むのです。
  • 企業に求められることは若い層に挑戦しがいのある役割を準備すること。成功するようにできるだけの支援を行うこと。挑戦して期待された結果を出せなかった人に対する再挑戦の場を提供することである。                                                                (日産自動車 相談役名誉会長 小枝 至)
  • 「どれだけの目がその人に向けられているかが大切なのではないか。逆に言えば、自分に向けられている目にどう気づき、それにどう応えていけるかです」 (俳優 仲代 達也)
  • 科学とは本来、純粋な驚きを伝えるだけのものです。(分子生物学者 福岡 伸一)
  • 大学の存在意義は、「次の新しい流れを生み出す」こと
  • 商いとは、取引をすれば利が出る仕組みを、きちんと作り上げること。 商いは、最後は勘だ。測るものをすべて測りつくしても、まだ見えないものがある。それを勘で補って、動くのだ。(北方 謙三「楠木 正成」中公文庫)

※ マーケテイングとは、「売れる商品をちゃんと作りましょう」ということ。 (花王)

  • 「日本の居酒屋文化、酒文化は崩壊の淵にある」。それは、地位や収入、年令の異なる人々が集う社会性の磁場の存立危機でもある。  (橋本 健二 「居酒屋ほろ酔い考現学」)
  • 私は次のように考えています。 「文明は、他の文化圏に容易に伝達できるか、もしくは伝達が不可能でないもの」、つまり輸出できる位に、通有性・普遍性を持っている。これに比べて、「文化は、他の文化圏に伝えることが不可能か、あるいは伝達に困難なもの」即ち、土と血から生まれた固有性がその特徴である。(開高 健 「一言(いちごん)半句(はんく)の戦場」 集英社)
  • バッハの味を知らない人は幸福である。その人には、人生の最大の至福の一つが待っているのだから                                                               (ゲーテ)
  • 「新しいものは”必要”から生まれる」            (井深 大)
  • 会社と個人が作り出す価値のカタチは様々だ。革新的な製品やサービス、利益、株式時価総額–。時代によって評価の物差しは変わるが、難局から逃げずに挑み続け、多彩な価値を創造することが社会の豊かさにつながる。
  • イノベーションとは、豊かな価値を創(つく)る組織を築く知恵を出すこと。

 

リーダーへの心得 (36)

  • 言葉は知性であるが同時に感性でもある。 (開高 健)

※  企業の成長とは「利益水準を一定以上に保ちながら売り上げ規模を拡大させることにつきる」

  • 会社というのは縁(えん)の塊(かたまり)のようなものです。人との縁が、商売を生み、発展させ、そして収益になります。特に日本の企業社会ではその傾向が強いのではないでしょうか。         (丸紅相談役 辻 亨)
  • だれが数えても同じだが、人間の病気には名前のついているのが2万5千あって、その中で治療法のわかっているのは5千だ。それでも新しい病気を発見することは、すべての若い医師の夢である。それは医師という職業にたずさわって名をあげるもっとも近道であり、もっとも確実な方法である。

現実的にいって、古くからある病気の療法を発見するより、新しい病気を発見するほうがはるかにとくなのだ。療法を見つけても、試験され、批判され、数年にわたって議論されるのに、新しい病気はただちに認められて、受け入れられる。                             (マイクル・クライトン「緊急の場合は」ハヤカワ文庫)

  • 大学の教師とは、数学者・京大名誉教授だった伊藤 清さんのこと

「講義にはチョーク1本持って現れ、複雑な式をそらでよどみなく書き下ろした。

「講義の前には、書斎にこもって長い時間かけて準備していました。熱中するとご飯のときしか出てこないんです」と次女のソレンセン和子さん。家族と一緒にピクニックに行く優しい父親だったという。                  (内村 直之)

※ モードとは、オリジンのない出現である。  (社会学者、ボードリャール)

  • 業とは人に宿る能と力であり、さらに業を持った人の行いが時世に善果(ぜんか)や悪果(あっか)を生む。(中略) それでもこの気丈な女子(おなご)から窺(うかが)える生き様は、決して卑屈なものではなく、投げやりなものでない。己の出自を恨むわけではなく、逆に運命を切り開いていこうとする力に溢(あふ)れていた。 (海道 龍一朗 「乱世疾走」 新潮文庫)
  • 事業の運営で重要なのは「不確実を管理すること」。 今の事業など細かいことを経営者が説明しても意味がない。 「10年後、こういう会社にしよう」と言えなければね。(帝人社長 大八木 成男)
  • 経営者にとって、必要なのは英語でいう「コーシャス・オプティミズム(用心深い楽観主義)」の心構え。

※ リーダーシップとは、文化的背景の違いを乗り越えて変化をもたらせる能力だ。(コーン・フェリー・インターナショナルCEO ゲーリー・バーニソン)

  • 「相反する見解がぶつかり、対話を重ねて初めて、うまく意思決定ができる」

    (P・ドラッカー)

  • 人の育つ土壌(どじょう)を次世代につなぐのは企業経営者の責任である。

 

リーダーへの心得 (37)

  • 「ある事業が成功するかしないかは、いちに、その事業に人々を駆り立てる何かがあるか、ないかにかかっている」             (マキァベェッリ)

※  リーダーへの心得  規律を重んじながらも、独創性あふれるプレーの持ち主

※ リーダーへの心得 人は苦しいときに育ち、苦しい仕事があるから成長する。苦境に立ち向かい、苦しい思いをして切り抜けることがどれだけ大変か体験することが成長につながる。温室で育つことは決して幸せでない。                                                  (伊藤忠商事会長 丹羽 宇一郎)

  • 国づくりとは、その国の民族の性格の反映である。また、それは一時期に完成するものでないところから、それをどのように進めていくかによって、その国の民族の性格を形づくっていくものでもある。                                                                               (塩野 七生 「海の都の物語」中央公論社)
  • 随所に<禁煙>の表示も明瞭な発令室にあって、いましも室内の空気は、天井のあたりをひらたく、ゆっくりと、雲のように漂う紫煙で青かった。雲はうっすらと細い螺旋を描いて、何本かのくすぶる煙草の先におりている。 ニコルスにとって、この火のついた煙草には、なにかふしぎな安堵をあたえるものであった。ぴんと張りつめた異様な静寂の中で、男たちの人間とも見えぬ静止不動の中で、それだけが、生命のただひとつ証だった。

         (アリステア・マクリーン「女王陛下のユリシーズ号」 ハヤカワ文庫)

  • 哲学とは、人間の経験と思考をめぐって、その可能性と限界を見さだめようとするものである。(熊野 純彦 「西洋哲学史」 岩波新書)
  • しかし、聴診器を非科学的などと軽蔑したのが間違いであったことをつくづく感じることがある。 よい医者というのは、聴診器で単に呼吸音や心音を聞こうとしていたのでない。検査では知ることができない患者の本当の訴えを聞くために聴打診を行っていることに気づいたからである。 (多田 富雄「独酌余滴」 朝日文庫)
  • 冒険小説とは、”成熟した男性によって書かれた、成熟した男性のためのエンタテイメント” (作家 田中光二)
  • 「従業員自身が納得した上で、楽しく仕事しなければ、気持ちの良い接客はできない」   (オリエンタルランド執行役員 永嶋 悦子)
  • 企業のあるべき姿とは、頭のてっぺんから足の先まで血の通った一つの有機的組織体として活動することにある。 (三菱ケミカルホールディングス社長 小林喜光)

※ 躾とは、プレイをよりよくするための配慮の技術の集積である。

※ イノベーションとは、マンネリズムにおちいった軌道を拡大の方向に向って大きく修正することである。

 

リーダーへの心得 (38)

  • 「フランス人が働くようになり、アメリカ人が政治の議論をやめ、イタリア人が嘘をつかなくなったら、そろそろこの世はお手あげというふうになるんやないかな」          (開高 健「一言半句の戦場」 集英社)

※  イノベーションとは、従来見逃されていた特性で優れた商品を生み出すことで新しい市場を創造すること

  • 「生き残る種というのは、最も強いものでなければ、最も知的なものでもない。最も変化に適応できる種が生き残るのだ」            (ダーウィン)

※ プロデュース 一つのビジョンのもとに、人々の力を借りて「新しい何か」を創りだし、現状を変えること、それがプロデュースである。             (出典:佐々木 直彦「プロデュース能力」日本能率協会)

  • 「そうでは、あまりに。なんのお役に立ちませんのに」

「なに、道誉様は無駄なものがお好きなのだ。笛の音で、飢えは癒されぬ。まず人には無駄なものだ。しかし、人の心は無駄なものの中にこそある、とも思っておられる」(北方 謙三 「道(どう)誉(よ)なり」 中公文庫)

  • リーダーの資質  現状を否定するのは簡単だ。

「何を作ればいいのかを考え、全体をデザインできる」のがリーダーの資質だ。

                                                   (社会学者 鈴木 謙介(32))

  • 歴史を知るということは何も物知りになることではなくて、日本人とはどういうものかを知ることなんです。危機に直面したときにどう選択し、どう考えたかが分かる。「人間学」です。     (半藤 一利 作家)
  • 「私が歴史・時代小説を書いているのは今を強く生きるため。強さとは志が高く自己犠牲をいとわないことだと思う」

                              (「利休にたずねよ」で直木賞受賞した山本兼一)

  • 「お客様が探し求める商品を『ない』と言わないのが基本です」

「世の中の流れを感じられる店頭が大好き。ずっと健康で、お客様のお役に立てるならうれしい」  (東急ハンズ町田店 キッチン・製菓用品担当 坂地和子(66))

  • 与えられた手続きを行って、予想した結果が得られるのは当たり前である。当たり前のことが起こらないとき、どこに問題があるのか、その所在を突き止める能力を身につけることこそがプロになるということなのです。                                                    (分子生物学者 福岡 伸一)
  • 「思考後退の防止には辞書を手元に置いておくのがよい」 (ある精神科医の話)
  • 「時代のしっぽを捕らえないと、役者はつとまらない。捕もうとするか、しないかの違いが大きい」                                                   (役者 伊東四朗)
  • 「いろんな部署を回ってきた。飛ばされたと思ったときも、面白いと感じながら仕事に打ち込んできた。出向だって経験になる。仕事は楽しく、人生も楽しく。 これからも自然体でやっていくつもり。 (最高裁判所判事 桜井龍子)

 

リーダーへの心得 (39)

  • 個人の業績はその人の才能と運による。 (マキアヴェッリ)
  • リーダーとは、集団が共通の目標を設定し、それを手助けする存在。ついて来る人々(フォロワー)をどれだけ動員できるかどうかにかかっている。

             (ジョセフ・S・ナイ「リーダー・パワー」日本経済出版社)

  • 万物流転の掟を覆す方法はたった一つ。創業者の掲げた高邁な理念を受け継ぎながら、時代に合った経営手法を開発していくことである。藤沢武夫さんの言葉を借りていえば、「経営者たるもの、常に三歩先を読み、二歩先を語り、一歩先を照らしながら経営に当たらなければならない」。 大局観のない会社が滅びてしまうのは、今も昔も同じである。 (鈴木 隆 「滅びの遺伝子-山一証券興亡百年史」解説から 文春文庫)
  • 「面白くてためになる書物が、良書なのである」  (古代ローマの文人 ホラティウス)
  • 経営者に求められているのは環境変化の兆しにいち早く気付き、対応すること。私自身、経営者として「もつと早くやっておけば」と言われないことが大切だと思っている。 (任天堂社長 岩田 聡)
  • 「おむすびは神代の昔から日本中どこにでもある日常食。 おいしく炊きあがったご飯を、おいしくなれとひたすら念じて握っています。おむすびを握ることは、それを通して握る人の心を伝えること。一緒に食べることによって、心が通い合えます」      (森のイスキア主宰 佐藤 初女(はつめ))
  • 「人間は自らの歴史を作る。だが、好き勝手に作るわけではない。自分で選んだ状況の下ではなく、過去から与えられた状況の下で作るのだ」 (カール・マルクス)

※ ビジネスの基本は、商品の性能、適正な値付け、それを支えるコスト競争力。この三つ。

  • 商人は常に新しいことにチャレンジしなくては、大きな利益をあげることはできない。
  • 「力とは身体的な強さではなく、不屈の精神がもたらすものだ」 (マハトマ・ガンジー)
  • 集まったジャーナリストたちは、ほとんどが二十代から三十代前半の若い記者だった。ベトナム戦争というのは、若い記者にとって絶好の訓練場所となった。いくら才能に恵まれた記者でも、現場を数多く踏まなくては才能を開花させることはできない。 ベトナムは、世界のトップ・ニュースを若い記者に取材させるビック・チャンスを与えた。現在ワシントンに集まっている第一線の多くが、ベトナム経験者である。 (青木 富貴子 「ライカでグッドバイ」 文春文庫)
  • 革新とは「差異」を創造することであり、利潤とは創造された差異に対する報酬なのである。 (岩井克人「資本主義を語る」 講談社)

※ サービスとは、商品の価値を正しく理解させるための特別な努力(プレイ)である。

(注意:この資料は1990年代のものです)

印刷される方はこちら→時代が変わっても生きるメッセージ(10)

 

 

広島原爆ドームであった人

2020/1/24

広島原爆ドームであった人

社会福祉士 北村弘之

仕事で広島に行った際、空き時間を利用して、久しぶりに新装の「原爆資料館(正式には広島平和記念資料館)」を訪れました。今回で多分4回目の訪問でしたが、以前と変わり、展示してある内容は悲惨な実物のものが少なくなり、原爆で負った被災者の後世を写真やパネルで展示してあるのが特徴でした。また、日本人の被災者のみならず東南アジアや韓国の方といった海外の人々の紹介も印象的でした。もちろん、その中には「核」の怖さ、恐怖、そして現在でも核爆弾を持っている国々を紹介しているブースがありました。資料館では、日本人よりも若い外国人の方が目立ち、英語の案内文書を食い入るように見ていました。その影響もあってか、「訪問日記ノート」は、英語表記が多くあり、感ずるものがあったようです。

そのような中、慰霊碑で頭を下げたあと、「原爆ドーム」の前に来ますと、一人のおばさんの話に熱心に耳を傾けている若い日本人がいました。それは、2016年5月のオバマ大統領の広島の訪問時のことを語っていたのです。私はその若者の隣りで聞いていました。その内容は次のようなものでした。オバマ大統領は7分にわたって「核兵器のない世界」に向けた所感を述べ、日本国内からはもちろん世界から注目をあびた。しかし、写真にあるように、オバマ大統領は米国大統領の権限である「核発射ボタン」の装置を持って広島を訪問していたというのです。全世界には、核保有国は9か国。実戦配備数は約3,700とも言われています。もちろん米国もそうです。本気でオバマ大統領が「核兵器廃絶」を考えているのかというものでした。

それを聞いて、私も米国大統領の職務権限であることは間違いありませんがおばさんと同様釈然としないものが残りました。どこへ行っても「核発射ボタン」を持たなければならない米国大統領。広島に71年間足を踏み入れなかった理由の一つであるかと思われた一幕でした。

そのようなことを知らない日本国民は、オバマ大統領の広島記念資料館訪問だけを喜んではいられません。真の世界平和には我々一人ひとりが声を挙げて実現することが必要です。多分毎日訴えているおばさんに敬服します。      以上

印刷される方は→DSC00835 DSC00842 (2) 広島原爆ドームで会った人

時代が変わっても生きるメッセージ(9)

リーダーへの心得 (31)

  • 「強くて良い会社」へ (花王㈱取締役会長 後藤卓也)

  強くないと競争に勝ち残れず、良くないと社会から存在を認められない。

  • ミツカン、挑戦のDNA

 「脚下照顧に基づく現状否認 (自分自身を常に顧みて現状を追認しない)」

※「心眼」 ものごとをはっきり見わける鋭い心の働き。

  • どんな悪い事例とされることでも、それがはじめられたそもそものきっかけは立派なものであった。                  (ユリウス・カエサル)
  • 「働くことの意味」   (大庭健 「いま、働くということ ちくま新書」)

働き手に見えない人々のいのち、生活、人生が「穏やかに連鎖していく」ことに自分の労働が役立っているかを想像できること、それが労働の喜びを得る鍵だ。

  • 創造は「無駄・冒険・挑戦」 (ダンスのゴッドマザー 黒沢 美香)

 

※ 丹精  受け取る相手のためにできる限りを尽くすように示す言葉。

 

  • 経営者は常に変化に対応し、人や組織を正しい方向に導かねばなりません。 私は、これを「戦略力」と呼んでいます。 (マイクロソフト日本法人社長 樋口 泰行)
  • 元気なのは、生きる目標がきっぱりしているため。

 

  • 心が変われば態度が変わる。

・態度が変われば行動が変わる。

・行動が変われば習慣が変わる。

・習慣が変われば人格が変わる。

・人格が変われば運命が変わる。

・運命が変われば人生が変わる。

  (楽天の野村克也がよく口にするヒンドゥー教の教え)

  • ギリシャ人が人類史上もっとも輝かしい文化の基礎を築き得たのも、かれらにすぐれた問題作成の力があり、”なぜ”を問うことができたからだといわれる。 (外山 滋比古「思考の整理学」(ちくま文庫))

※ イノベーション  多様な働き方を可能にし、埋もれた人材を活用すること。

  • 企業とは、従業員の魂の塊だと芝野は思っていた。だが、それは数値化できないものでもある。数値化はできないが、それがあるかないかが企業の将来をはっきりと左右する。だから真の企業再生家は、数値化できない魂の部分を見抜くことでその企業の価値を判断すべきなのだ。  (真山 仁 「ハゲタカ Ⅱ」 講談社文庫)
  • 「ブランド」とは、顧客信頼感のカタマリです。 (花王)
  • 「報告書」とは投資したい、働きたい、製品を買いたい、工場を誘致したいなど、関心をもっている人たちへの判断材料です。

 

リーダーへの心得 (32)

※「本業力」とは、本業と決めた仕事に専心し、新たに何かを始めるにしても本業の延長線上にあるものに限定するという、老舗の矜持(きょうじ)が生み出す力を指している。(野村 進 ジャーナリスト)

  • 藤堂としては、あくまでも積極策を進める方針であった。背伸びしている中(うち)に、ほんとうに背が伸びるということもある。種子(たね)は広くまかねばならない。 拡大政策をとり続けて行く中、どれかが芽をふくであろう。       (城山 三郎 「役員室午後三時」 新潮文庫)
  • 正信が屹(きつ)と秀忠を見た。 背筋が伸び、眼の光が鋭さを増している。

「どんな名分のもとに、ですか」

「危険を未然に避けるためだ。名目なぞなんとでもつく」

正信の顔に嘲(あざけ)るような表情が浮かんだ。

「名目はでっちあげられても、名分は立ちませんぞ。名分の立たぬ合戦は大坂で沢山です」 (隆(りゅう) 慶一郎「捨て童子・松平 忠輝」講談社文庫)

  • 歴史とは、所詮、著名な事実の羅列である。(アナトール・フランス)
  • 人は、真実を見抜く眼をもっていないのではない。ただ往々にして、真実であってほしいと思っていることを、真実と見てしまうものなのである。

   (塩野 七生 「レパントの海戦」新潮文庫)

  • みんなからちょっとはみ出して、それを逆に売りにして生きるっていうのが社交性ね。                             (京都大学名誉教授 森 毅 80歳)

 

※「ヘリテージ」(遺産)とは  「残されたもの」ではなく「後の世代に伝えるもの」という未来に向けた意味合いがあることが強調された言葉。

  • 「元気な時は厄介だが、失って初めてかけがえのないものだったと分かるのが家族」                             (「歩いても 歩いても」の監督 是枝 裕和)
  • 上司は部下の失敗に追い打ちをかけるのではなく、いかにフォローするかが大事
  • 「『ごめんなさい』と『ありがとう』を言うべき時にちゃんと言えるか言えないかで、人生、ずいぶん違ってしまいます。 (「ことばの杜」代表山根基世)
  • この日、例によって大坂城では延々たる会議の連続だった。 会議が無闇に多くなるのはその集合体が滅びに向かったしるしであることは古今を通じての真実である。 まして一瞬の勝機に生命を賭ける合戦において、会議が多いのは敗北につながる。  (隆 慶一郎 「影武者 徳川 家康」 新潮文庫)
  • 「歴史とは完全を求めようとする人間の意志である」(海音寺 潮五郎)
  • 「人間には誰にも、自らの死を犬死と思わないで死ぬ権利がある。 そして、そう思わせるのは、上にある者の義務でもある」 (塩野 七生 「ロードス島攻防記」新潮文庫)

 

リーダーへの心得 (33)

※ リーダー、どんな時でも自分のペースを守れた人間ほどいい結果が出るのだ、普通にやろう。

  • ちなみに云う。この頃の吉原の太夫(たゆう)は一切化粧をしなかったという。髪に油をつけず、肌にお白粉(しろい)を塗らない。 全くの素顔だったという。それは己の美貌に自信があったからではない。 装うことなく、むきだしの素肌で、いい換えればむき出しの心で客と接したいという願いの現われだったのである。   (隆(りゅう) 慶一郎「かくれさと苦界行」 新潮文庫)
  • 文化といってもいろいろな文化があった。

文化勲章や文化鍋のような文化もあった。ところがこちらは烏賊(いか)の塩辛をいかにおいしく工夫して食べるか、目刺をいかに上手に干して焼くかの本物の文化であった。はやりすたりがなかった。

           (立原(たちはら) 正秋(まさあき) 「その年の冬」 講談社文庫)

  • リーダーとは、イノベーション「新しいアイデアの社会的価値の獲得」を発想できる人。
  • “均等法二世”といわれる現在の若者たちは、結婚や子育てを含め、自己実現できるかどうかという観点で企業を見ています。 働きながら家庭を大事に築けるか。これに取り組まない会社は、世の中から取り残されるのではないでしょうか。 (資生堂副社長 岩田 喜美枝)
  • 一人で居酒屋を楽しむのはごく「普通の暮らし」で、行けない状態が「貧困」だ。(橋本 健二 「居酒屋ほろ酔い考現学」 毎日新聞社)
  • 「今の若い人はすぐ私には無理と決めつける。でも、何事もやってみないとわからない。会社は人を育てる。本人も気づかない適性や能力を引き出してくれる。 企業勤めならではの妙味で、サラリーマンって本当に面白い。            (NTTコミュニケーションズ取締役 小林 洋子)

※ リーダーの役割は、ビジネスモデルをしっかりと構築すること。 「技術では勝ったが、ビジネスで負けてしまった」ということでは話にならない。

  • 『美しい』ってなんだろう ?

それは「約束は必ず守る」という美学である。       (もりむら・やすまさ 美術家)

  • わたしにとっての贅沢(ぜいたく)は、よく仕立てられた服で、一つのコスチュームが五年くらいはちゃんともって着られるものだ。古くて、使い古したものというのが、わたしの夢だ。アメリカでは何でも捨てる。だからしっかりしたものは何もない。

洗いもしないし、洗いに出しもしない。一度ドレスを洗いに出したことがあるけど、ボタン一つしか残っていなかった。これがアメリカだ。

贅沢の反対、チープだ。なんと嫌なのだろう。  (ココ・シャネル)

 

リーダーへの心得 (34)

  • リーダー、ちょっと外れてると見られがちな人間こそ、これからの時代の必要なリーダーなんじゃいかと思うんです。 「日本は今、すべての面でリスクを負わないリーダーばかりになってしまって、その結果が今の政治や経済にも表れている。リスクを負わないと、想定内のことしか対応できないリーダーしか育ってこない」(中竹 竜二 早大ラクビー部監督)
  • 「考え抜け。頭を使いすぎて、早死にしたやつはおらん」

                              (三井ハイテック創業者 三井孝昭)

  • 松下幸之助は

 「天下の人、天下の金、天下の土地、天下の物資を預かって事業を営む会社は『公器』だ」述べ、社会からの預かりものを生かせない企業は許されないと断じた。

  • 「仕事」とは、言い換えれば、「高い賃金、高い社会的威信、大きな権力、多くの情報」というようなものを人間にもたらす「機会」のことである。                  (内田 樹(たつる) 「ためらいの倫理学」 角川文庫)

※ ブラックボックス 製造業には独自ノウハウが存在する。

他にまねができない秘密や他が手を出せない領域をブラックボックスと言う。

  • こだわっているのはブランドではなくデザイン。 デザインは絵や音楽と同じように、人の感情を換起する。まず見て、次に使ってみて心が揺さぶられる。デザインと機能は両立していなければならないのです。       (仏・レクソンの代表兼デザイナーのルネ・アダ)
  • ファツションは、無形の価値を操作する技術である。 (グラフィックデザイナー  原 研哉)
  • 「プロ野球選手の実力とは、数字を超えて突出する過程の美しさだ」

   <権利としの走塁を阻止する送球の殺意が試合を面白くする>

   <セーブはどこか堕胎(だたい)を思わせて不快である>

   <爽快なエラーはプロ野球に不可欠の積極的なプレーである>

                  (女流華道教授 草野 進(しん) 「世紀末のプロ野球」角川文庫)

  • 「仕事の大変さの中で、想像力や他者を思いやる’心のゆとり’が枯れている。絵本を日常的に座右に置くことでケータイ、パソコンから離れた、別次元の時間の流れに心を移せ、感情や想像力をゆっくり再生できます」                                                    (作家 柳田 邦男)
  • ふしぎだと思うこと、これが科学の芽です。  よく観察してたしかめ、そして考えること、これが科学の茎です。そうして最後になぞがとける、これが科学の花です。(朝永 振一郎)

※ 真の名著(めいちょ)とは、何時どこにおいても、いかなる状態の人間にも、燃ゆるがごとき情熱と憩(いこ)いとを与えてくれるものである。

(注意:この資料は1990年代のものです)

印刷される方はこちら→時代が変わっても生きるメッセージ(9)