3世代で暮らすこと

2023/2/1

「三世代で暮らすこと」

—二世帯住宅—

社会福祉士 北村弘之  

68歳にて、長男夫婦とその子供、そして我々夫婦で二世帯住宅に住み初めてから1年近くが経ちました。二世帯住宅で暮らすことになった想い等をご紹介したいと思います。

息子夫婦は、すでに別所帯で暮していましたが、2番目の子どもが誕生したのを機に、2021年初め頃から二世帯住宅の新しい住まいを模索し始めました。偶然にも、時期を同じくして私達夫婦もこれからのことを考えるようになったのです。

その理由のひとつ目は、築40年近くたつ家の経年変化が目立ち、水回りなどの修理等の費用が将来にわたり相当かかることが予想されること、ニつ目は老後の生活不安が頭によぎっていたことです。夫婦のどちらかが亡くなった時の孤独感を先輩方からよく話を聞いていましたので、息子達との距離が近ければ、その不安を少なくできるのではないかと思ったからです。(娘夫婦は車で15分ぐらいの近さに住んでいます) 三つ目は、以前より息子夫婦の子供たち(つまり孫達)に、よりよい教育や生活環境の中で生活してもらいたいと願ったことです。四つ目は、私の中に「三世代」で暮したいという想いがあったことです。実は、両親が他界する前までは、やはり三世代で暮しており、父母は我々共働きの生活を手助けしてくれたり、孫を見守ったりしてもらい助かりました。孫との暮らしぶりは年老いた父母によい刺激を与え、精神的に豊かな生活を送れたのではないかと感じています。そして年老いていく親の姿をみることで、いずれ来る息子達の老いの準備としてほしいと思ったのです。人は一人では生きていけないのですから。

社会では三世代で暮すことは少ないようですが、今回、妻と息子夫婦の理解を得て、二世帯住宅の話が進んでいきました。

建築にあたり、業者の設計者を中心に息子夫婦と我々夫婦での意見の出しあう場で、お互いの考えの違いや、新しい考えを発見することができました。このようなことを一緒に行いながら、「一緒に暮らす」下地を築いていくことができたようです。息子夫婦は自分の子供のことを、我々は老いていく自分の身体を考えるよいキッカケとなりました。ちなみに、二世帯住宅といっても完全分離型です。

息子夫婦と一緒に暮らす前、「お互いの生活を尊重しあい、必要なら助け合う」という妻の助言のもと現在暮らしています。ということで、同じマンションの隣り合わせの部屋に住んでいるようなイメージです。連絡は携帯電話で行い、顔合わせは週に一回ぐらいでしょうか。二人の孫は保育園児ということもあり、日中は私達と顔を合わせることはなく、休日は親と一緒に散歩や買い物に出かけています。

話題はそれますが、引っ越しにあたって、これまで住んできた家の荷物を整理することがとても大変でした。長年の生活で多くなった本や雑貨類の処分には相当な時間と体力費やしましたが、結果的に「生前整理」となりました。残っているものは「写真等のアルバム」です。これは、なかなか整理ができないものです。

また、新居は「省エネルギー住宅」にしたので、以前の暮らしぶりの電気、ガス、水道は約15%のエネルギー減となりました。そして国の住宅政策で相当の補助金の恩恵があったことも付け加えておきます。

この冬、隙間風もなく快適な生活を過ごすことができています。これも年老いた中で大きな身体の恩恵です。

以上

写真は愛犬「ハル」です