「先々の住まい」 6/8

2022/8/20(No.6/8)

—70歳代前半の人が検討してほしいこと—

社会福祉士 北村弘之

7. 「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢住宅」について

自分にふさわしい「老いの過ごし方」の住まいを、有料老人ホームとサービス付き高齢者住宅(サ高住)に視点をおき、みていきましょう。

ここ10年間で急増しているサ高住と有料老人ホームの違いが分からないという声をよく聞きますので理解することにもつながります。

有料老人ホームは、老人福祉法に基づき設立されており、昭和の時代から運営されてきています。これまで社会環境の変化に合わせ制度変更を行い現行に至っています。

また、サービス付き高齢者住宅は、高齢者の住まいの確保性が高くなることを見越して2011年の「高齢者住い法」の施行で設立されています。

有料老人ホームとサ高住の違いや入居者の姿などを見ていきます。

有料老人ホームは、高級なものから一般向きのものとグレードがあるのが特徴です。また自立できている状態から入居する住宅型施設と、介護の支援が必要な介護付きとがあります。

 サービス付き高齢者住宅は、法律によって部屋の広さや、トイレ、洗面所の要件などが決まっており、その上、生活支援サービス等があるものです。介護付きの住まいもありますが、用途しては、第ニの住処として住み続ける人と、特養待ちの一時的な住処としている人もいます。(詳細は下記)

それでは、どのような人が有料老人ホームとサービス付き高齢者住宅(サ高住)に入居しているかみていきましょう。

違いを見るための視点は3つあります。1は本人の「生活状態(生活感)」、2に本人の身体や医療状態、3に「資産(資金)」となります。

何と言っても、「資金」に余裕がある人は、有料老人ホームに入居されています。まとまった一時金の必要性、そして毎月の支払(部屋代、管理費、食事代)ができる人となります。一方、サ高住の人は、一時金はなく敷金として前納することになりますので、毎月の支払(部屋代、管理費、食事代)を年金中心でまかなえる人が中心となります。但し、年金の不足分は預金を崩すことになります。

また、介護や見守りが必要な人には、有料老人ホームとサ高住では大きな違いはありませんが慢性的な疾患を持っている人は、有料老人ホームを選ぶ人が多いようです。

有料老人ホームの入居者は、自宅での生活感覚をそのまま維持したい人、食事は施設にお任せする人が多いようです。また、サ高住を選択される方には、自分で食事を用意したい。また、地域交流や社会参加に関わるサービスを積極的に利用したいと考える方もおられます。