「先々の住まい」 4/8

2022/6/23 (No.4/8)   

—70歳代前半の人が検討してほしいこと—

社会福祉士 北村弘之

5. 老齢期を自宅外(老人ホーム等)で過ごすには

さて、自宅外で過ごすには大きく2つあります。下記の表にあります「自宅または自宅的な住まい」。もう一つは介護が必要になった際の自宅外の介護施設です。

今回の「住まい方」では自宅的な住まい方に焦点を充てていますので「自宅または自宅的な住まい」の紹介となります。いずれにしても、自宅外に住み替えることは、これまでにない慣れない生活がやってきます。人間は生活環境が変わると、精神的にストレスを負うことになります。その期間は若いほど短くて済むのではないでしょうか。

■有料老人ホーム(住宅型)の多くは民間企業が運営しており、部屋の広さと利便性、そしてサービスの質により、費用はピンキリ状態です。ホテルのようなロビーのところもあれば、一軒家の玄関のようなところもあります。部屋代は部屋の広さと最寄りの賃貸物件が連動しています。自由度は比較的高く、自分に適した生活をおくることができます。

住宅型では、介護が重くなった際に「介護付き」の部屋に移行できるホームもあります。

介護付きと住宅型を併せて、2020年10月現在で約53万室が提供されています。

■サービス付き高齢者住宅(サ高住)は、長寿社会になり高齢者の一人暮らしが多くなったことにより生活不安(安否確認や食事)を少なくすることで法律化されました。殆どは民間企業が運営しており、2011年以降すでに27万戸(‘21/年末時点)が提供されています。最近は介護付きのサ高住が多くなっており、特養入所待ちの一時入居者もみられます。部屋の面積は基本25㎡です。いわば、一つ屋根の下で部屋がある長屋的なもので、部屋の他にサービス(安否確認、食事提供等)が付帯したものです。

■シニア向け分譲マンションは、2005年前後から各地で設立されたもので、住いの広さは40㎡以上あり、分譲の名前のとおり所有権があります。自分で食事を作ることもあれは、たまにはマンション内の食堂で食事をとることができます。また、娯楽室を兼ね備えているところもあります。中には、このマンションから勤務先に通う人もいます。

■グループリビングとは、なじみの少ない住まい方ですが全国に約100か所あり、「一つの屋根の下、共に生活する場」です。夕食時は一緒に顔を合わせて団欒することで孤独感を減らし、ひとりでいたいときは自分の部屋で生活するものです。生活方針等は入居者とスタッフで決めていくという「自立型」の生活の場です。多くは10人前後の住まいです。若い人の間で多くなっている「シェアハウス」もこれと同様な運営です。