「先々の住まい」 3/8

2022/5/20 (No.3/8)  

—70歳代前半の人が検討してほしいこと—

社会福祉士 北村弘之

4.老齢期を自宅で過ごすには

老齢期を住み慣れた自宅で過ごすということは、家のどこに何があるかを知っており、不自由なく過ごせることや長年親しんできた近所付き合いによる会話ができる気楽さもあります。その反面、住いは経年変化(建付けが悪くなったり等)が生じ、メンテナンスの必要も増えてきます。また物が多くなり足の踏み場が狭くなっていることもあり、転倒等の不安を抱えていることにつながります。

老齢期の配偶者との二人生活は、精神的な支えになっているものの、独りになるとそれまでのようにはいきません。安心できる住まい環境はもちろん、自然災害に備えたり、起こりえる体調不良時の医療機関等の「緊急時の対応」を予め記載したものを冷蔵庫や玄関に示しておくことは大切な手段となります。

また、老齢期には医療と介護の必要性はどうしても生じてきます。今は自立していても、その覚悟は必要です。行政の相談窓口の所在地などを広報誌などで知っておくことも大切です。

しかし、何と言っても、自宅で住まい続けるには近所の人の力を借りることが、これまでの経験で明らかです。今からでも近所付き合いを大切にしていきましよう。そのためには、町内の催し物に参加して顔を知っておくことです。

今後の高齢社会では、介護される人数は多くなる一方、その人を支える介護従事者の増加は期待できません。老齢期を「何らかの工夫」をして自宅で過ごすことは多いにあるでしょう。