ちょつと得する情報 No.3

‘22/4/21 社会福祉士 北村弘之

社会福祉士として、福祉分野を中心に相談業務にあたっています。この中から皆さんにお役に立つ「ちょっと得する情報」を提供させていただきます。 今回は第三回目です。

5. 傷病手当金制度。1年6か月の期間は通算となりました。

会社員等が病気やけがで仕事を休んだ時に受給される「傷病手当金」の制度が’22/1月から変わりました。従来は、「支給が始まってから1年6か月」と期間が決まっていましたが、出勤と欠勤を繰り返した場合は、「休んだ期間の通算で1年6か月分」で傷病手当金の給付を受けられるようになりました。例えば治療が長く続くがん患者には、最初の入院治療や療養で休んだ4か月は手当金の支給があり、2年後に再発して休むことになっても手当金の支給期間は終わっており支給を受けられませんでした。今回はこのような人にも適用されることになります。なお、傷病手当金は健康保険組合や共済組合に加入の人が対象です。詳しくは、勤務先の人事部門や病院の相談支援センターに相談してみましょう。

6. 高齢者の治療は本人意思をまず第一に

医療や介護の現場では、高齢者の治療や延命に関して親族が本人に代わって意思表明署名することがありました。また、医療機関を受診すると「高齢だから」と言って、ひとくくりにして本人の意向を確認しないことは今でもあります。人の人生は多様で身体もそれぞれ違いがあり、治療方針の選択肢はいろいろあります。このような時代背景の中、「認知症」「障害者」「がん患者」などの意思決定が困難な人を対象に「本人の意思決定」を優先した新たな方策が出ています。といっても本人一人でなく、医師や看護師、ケアマネジャーなど本人を支える人が一緒になって、本人にとっての最善策を検討する場が設けられていますので是非活用していただきたいものです。私は後見人活動を進めていく中で、たとえ意思疎通が難しい人でも本人の生きてきた経過や会話時の表情等から意思を汲み取り、関係者間で最適な判断をするように努めています。

高齢者総合機能評価(CGA)という指標があります。この目的は、高齢者の「見逃されていた問題の発見」「治療方針の決定」「副作用の予測」「病気の経過の予測」です。これによって高齢者が抱える問題点を評価し、死亡率や再入院率を下げる効果があることがわかってきたようです。特にがん患者を中心に全国のがんセンターや大学病院でCGAの実施機関が増えています。不安のある方は実施機関に相談してみてはいかがでしょうか。