ちょっと得する情報 No.1

‘22/2/21 社会福祉士 北村弘之

社会福祉士として、福祉分野を中心に相談業務にあたっています。この中から皆さんにお役に立つ「ちょっと得する情報」を提供させていただきます。 今回は第一回目です。

1. 認知症の人の本人預金は引きだせる

金融機関の窓口では、預金の引き出しは本人の意思確認が必要です。認知症の親族にとって、本人預金を引き出すには本人のキャッシュカードを親族が利用する(あまりよいことではありませんが・・・)、代理カードの利用、あるいは成年後見人を立てることしかありませんでした。’20/3月の全国銀行協会の発表で、「本人の利益に適合」であれば引き出すことができると発表がありました。さて「本人の利益に適合」とはどういうことでしょうか。つまり本人の生活費や施設入所費用、医療費の領収書等により、使い道が本人のためになっているものです。但し、金額は限定的となります。具体的な手続きには認知判断能力の喪失を確認するために、本人との面談や診断書の提出等が必要です。銀行側はこれまでと同様、基本は成年後見制度の利用とあります。必要に応じて各銀行に問い合わせることになりが、少なくとも、銀行側と親族側のトラブル回避を少なくしたい、また今後の認知症の人が増加すると見込まれた中での銀行側の対策といえるでしょう。

2. 親族死亡時に生命保険の加入状況を知ることができるようになりました

親が亡くなったあとには、多くの手続きが必要となります。その中でも金融財産、いわゆる預金口座や生命保険口座の有無の確認はやっかいなものです。亡くなった親の自宅に銀行や生命保険会社からの郵送通知などがあれば、これをもとに親族は銀行や生命保険会社に相続財産として謄本等を持参して相続手続きができます。 

生命保険において、相続人の手元に何も情報がない場合、生命保険協会に申し込むことで加盟の各社に生命保険の有無を照会してくれる仕組みがあります。但し、手続きに必要な書類の準備と手数料が必要となります。詳しくは、生命保険協会のHPの「生命保険契約照会制度」をご覧ください。

銀行の預金口座は、親が取引していた金融機関と支店名を知っていることが前提となり、残高証明書を得て相続手続きをすることになります。もし分からないときの手段として、亡き親の借り入れや支払状況が銀行等あった場合は、「全国銀行個人信用情報センター」に、クレジット・信販の利用状況は「CIC」に、消費者ローンの借り入れ状況は、「JICC」に開示請求ができます。開示請求には、必要な書類や手数料が必要となります。また法定相続人が申請手続きとなります。利用していた銀行口座を探す手段のひとつとなるでしょう。