介護施設の負担額はますます増加 (2/4)

-2021年 介護保険改正—(2/4)

2021/12/20

社会福祉士 北村弘之  

前回に引き続き、2021年度の介護保険改正によって見直しがあった点について記します。

今回は、「高額介護サービス費の上限額の新設」があったこと、またその他に、2022年秋に改正が予定されています、75歳以上の人を対象とした「後期高齢者医療の窓口負担額の増加」を取り上げています。これらは、高額所得者を対象にしたものですが、後期高齢者の窓口負担は年金200万円以上の人が対象となりますので、ますます年金暮らしは大変になりそうです。

3. 高額介護サービス費の上限額の新設(年収770万円以上)

高額介護サービス費とは、月額の自己負担額が上限額を超えた場合、超過分の払い戻しが受けられる制度です。サービスを受けた月の数か月後に還付があります。

今回の改正では、課税所得が380万円以上の人に対して負担限度額があらたに設けられました。(下表)

一般的な年金受給者の例、(年金のみ250万円:上記課税所得380万円未満の欄)、介護サービス費の自己負担額(1割)が50,000円であった場合、計算式50,000円-44,000円で、6,000円が還付されることになります。

今回の改訂では、保険料の応能負担同様、所得の多い人により負担してもらう政策となっています。

4.参考:後期高齢者医療の窓口自己負担額増加

後期高齢者医療制度は、75歳以上(1,815万人)の医療保険制度で、被保険者の多くは、いわゆる年金生活者です。今回は3割負担の他に新たに「2割負担」が新設されることになりました。(下記表)。

厚労省の発表によると、実に2割負担の対象者は370万人(75歳以上の約20%)となり、窓口での支払額は年間で倍になります。(下記表)。実際の法律施行は、2022年10月以降の見込みですが、これは相当の痛みを伴う改正です