おひとり様の老い支度 ④ 健康と老いのリスク病気

今回のテーマ 「健康と老いのリスク病気」   4回目

        発行7/25/2020

社会福祉士 北村弘之

老後を元気で過ごすことは誰もが望んでいますが、平均寿命が延びている現代にとって、長生リスクを考える必要があります。その一番は「病気に罹る期間が長くなる」そして同時に「介護のお世話になる期間も伸びる」ということです。

そのため最低限の健康を維持するためには、できるだけ医療にかからず自助努力できることが一番望ましいです。規則正しい栄養のある食生活、そして丈夫な歯を維持することは自助努力のひとつです。また、長期にわたる「薬」での治療は考え物です。我々にとって医師の存在は絶対的なものですが、医師の中村仁一氏(京都在住)は、「医療者は脇役で、お手伝いするお助けマン、薬はお助け物質、器械はお助けマシーンである」そして、「本人に治せないものを、他人である医者に治せるはずがない」と。また中村氏の好きな学説に次の言葉があります。「治療の根本は、自然治癒力を助長し強化することにある」

本人の身体のバロメーターは自分自身が良く知っています。健康は病気になって初めて知るものです。本人が健やかでありたいと願う気持ちが病気に打ち勝つことに通じるのではないでしょうか。

さて、「健康寿命」という言葉を最近よく聞きます。これは、日常の生活において不自由なく過ごせる期間のことです。(下図参照)

 おひとり様 図 健康と老いのリスク 2

60歳の男性の場合を例にとると、健康寿命の72歳と平均余命23.8歳を考慮した平均寿命83.8歳の差は約12年(83.8歳-72歳)となり、この期間は日常生活に制限のある生活を送らざるを得ないというものです。

平均寿命が延びたとは言え、諸先輩の話を聞いてみると60歳、65歳、70歳、75歳、80歳と階段を一段ずつ降りるように体力が落ちているようです。人間は、経験から学びながら生活してきました。若いときと同じように行動ができると思いがちですが、実際には体力は確実に落ちていることを自覚する必要があります。

さて、おひとり様にとって、健康を阻害する要因の一つに「人とのつながり」の薄さがあるようです。女性は、年齢を重ねてもおしゃべりの機会が多く会話が弾んでいるので、刺激を受け前向きな人生を送れるのでしょう。しかし、男性の場合はそうはいかないようです。

下記の調査結果は、それを物語っているように思えます。おひとり様の健康リスクは、人とのつながりが高い(コミニユケーション)ほど少ない結果が実証されています。

会社人間である人には、現役のうちから積極的に地域生活のお手伝いや仲間との外出等を通して刺激ある生活に努めることで心の健康に拍車がかかることでしょう。

 4回目 健康と老いのリスク2

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