今回のテーマ 「はじめに」
発行4/25/2020
社会福祉士 北村弘之
50歳を過ぎると、何かの機会に「老い支度」を考える人がいます。ライフプランセミナー後に、「私は独身で将来のことが不安なので誰に相談すればよいでしょうか」 とか「兄妹はいるものの兄も独身ですので、いずれ私は独りになりますので何か社会的な支援の制度はないでしょうか」といった相談があります。
しかし、おひとり様は決して独身者だけのものでなく、配偶者のある人もいずれはどちらかがおひとり様になるのです。そのような想いから、40~50歳代のサラリーマンを想定した「おひとり様」を対象に、安心した生活を送るうえで考慮しておいたほうがよいことを次回から11回シリーズでお届けします。現役の40~50歳代のおひとり様には、定年後のことを踏まえて、また60歳以降のおひとり様にも参考になるテーマを選んでいますので、どうぞ活用いただければと思います。
(但し、11テーマは全てではありませんのでご了承下さい)
今回は、初回にあたりテーマの紹介等、私の想いを記しました。
【テーマ(11回シリーズ)】
- 生きがいと人生観
- お金と長生きリスク
- 健康と老いのリスク病気
- 健康寿命とともにやってくる介護事情
- ひとり暮らしの住い方
- 財産・不要品の扱い
- 延命の意思表明
- 遺言書と死後事務委任契約
- 葬儀と墓守
- いろいろあるセーフティネット
- 任意後見制度と法定後見制度
【老いに向けて】
老いは、おひとり様に限らず誰にもやってきます。たまには一人になって立ち止まって考えてみるのはどうでしょうか。どの年代でもそうですが、「人生は心がけ次第」です。ある人の言葉です。
◇避けて通れないことに、しっかり取り組む ➡ 頑張り
◇叶わない夢は求めない ➡ 割り切り
◇人の気持ちを受け止める ➡ 思いやり
◇想定外、まさかに備える ➡ 段取り
◇孤立は避けて、孤独を味わう ➡ ゆとり
特に、社会から切り離されるような生活(孤立)は、何としても避けたいものです。
【はじめに】
誰もが、両親の間に生まれ、学びの時に師に巡り合い、友人とともに励まし合い、社会人になってからは組織の中で仕事に励んできました。そこでも大切な友人を得てきました。しかし、「会社定年」を迎える前の50歳代になると、定年後の長い将来の不安がよぎってきます。
私の父の時代(大正13年生)の定年は55歳で、当時(‘80)の平均寿命は73歳でした。しかし、2018年の平均寿命は男性81歳、女性87歳です。そして現在50歳代の人は、それぞれ90歳近く、100歳近くの寿命となるのです。60歳で定年とするとその後何と男性では30年、女性では40年を過ごすことになります。これを長いと感じるか、また短いと感じるか・・・・。
さて、「50歳時のおひとり様」の方には、2通りのパターンがあるのではないでしょうか。一つめは自分の想いや信念があって独身を通している人。二つめは、家族の世話(高齢の親の面倒や家族の介護)といった、やむにやまれず独身で過ごしている人、また、将来の不安からどうしても一人暮らしを送らなければならない人もいるでしょう。前者は将来の人生設計をしたうえで「覚悟」を持って生活を送っている人です。このような方はいろいろな情報収集をして自分なりの満足ある生活を送ることに人一倍研鑽していることでしょう。しかし、後者は自分ではどうにもならない社会や家族環境にあり、社会保障制度ばかりでなく、社会全体で助け合うことが大切になってきます。いわゆる共助です。
今回テーマとして11項目を挙げていますが、個々の「おひとり様」は、この中から何か「気づく」キッカケを探っていただければと考えています。
私が会員であるNPO法人のスローガンは『老い支度「こころ、からだ、すまい、おかね」』です。一番目は「こころ」で、4番目が「おかね」となっています。一人暮らしで、一番大切なのは「おかね」より「こころ」だからです。つまり、どう生きるかという気持ちが表れているのです。人生長生きすれば、おひとり様になることは避けられません。
自分自身が事故や不意の病気で動けなくなった時
頼れる人がいますか? そしていろんな社会的サービスがあることを知っていますか?
わけもないさみしさ
死ぬのではないかという根拠のない不安
そして自分のまわりには誰もいない
それらをはねかえす「強い気持ちを持てるか、持てないか」
持てないなら、是非事前に準備しましょう!!!
印刷はこちら⇒老い支度 おひとり様 「はじめに」⓪
作品の紹介です。
(写真は私と同じNPO法人で活躍の伊藤忠直さんの作品。
定年後の趣味の世界に没頭です。
2019年11月1日 「第22回 全日本バードカービングコンクール」初級の部でレッドリボン(2位)を受賞。)