広島原爆ドームであった人

2020/1/24

広島原爆ドームであった人

社会福祉士 北村弘之

仕事で広島に行った際、空き時間を利用して、久しぶりに新装の「原爆資料館(正式には広島平和記念資料館)」を訪れました。今回で多分4回目の訪問でしたが、以前と変わり、展示してある内容は悲惨な実物のものが少なくなり、原爆で負った被災者の後世を写真やパネルで展示してあるのが特徴でした。また、日本人の被災者のみならず東南アジアや韓国の方といった海外の人々の紹介も印象的でした。もちろん、その中には「核」の怖さ、恐怖、そして現在でも核爆弾を持っている国々を紹介しているブースがありました。資料館では、日本人よりも若い外国人の方が目立ち、英語の案内文書を食い入るように見ていました。その影響もあってか、「訪問日記ノート」は、英語表記が多くあり、感ずるものがあったようです。

そのような中、慰霊碑で頭を下げたあと、「原爆ドーム」の前に来ますと、一人のおばさんの話に熱心に耳を傾けている若い日本人がいました。それは、2016年5月のオバマ大統領の広島の訪問時のことを語っていたのです。私はその若者の隣りで聞いていました。その内容は次のようなものでした。オバマ大統領は7分にわたって「核兵器のない世界」に向けた所感を述べ、日本国内からはもちろん世界から注目をあびた。しかし、写真にあるように、オバマ大統領は米国大統領の権限である「核発射ボタン」の装置を持って広島を訪問していたというのです。全世界には、核保有国は9か国。実戦配備数は約3,700とも言われています。もちろん米国もそうです。本気でオバマ大統領が「核兵器廃絶」を考えているのかというものでした。

それを聞いて、私も米国大統領の職務権限であることは間違いありませんがおばさんと同様釈然としないものが残りました。どこへ行っても「核発射ボタン」を持たなければならない米国大統領。広島に71年間足を踏み入れなかった理由の一つであるかと思われた一幕でした。

そのようなことを知らない日本国民は、オバマ大統領の広島記念資料館訪問だけを喜んではいられません。真の世界平和には我々一人ひとりが声を挙げて実現することが必要です。多分毎日訴えているおばさんに敬服します。      以上

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