介護離職をしないで仕事との両立を目指して

                        北村社会福祉士事務所

   介護離職しないで仕事との両立を目指して

 国の統計によると、ご両親等の介護や看護のために仕事を辞めている人は毎年10万人にも及んでおり、離職者の80%は女性となっています。また、ご両親等の介護がはじまる年代は40歳代後半からが多く、定年までにほとんどの人が介護に直面しています。社会風土の流れで、夫の妻が両親の面倒を見ることは少なくなり、働く男性も面倒を見る必要が出ていることもあります。しかし、介護・看護のために離職したりしても、そのあとの経済的なことを考慮しないケースがよく見られます。国は、制度として「育児・介護休業法」の中で、働く人のための介護休業を進めています。

  1. 男性介護者は全体の4割を占めている

総務省の調査(H23年)によると、男女合わせて、約700万人の介護者がおり、うち男性は4割を占めており、生計の柱である男性の介護者は増加の傾向にあります。

  1. 離職後の変化

厚労省の資料によると、離職後の変化を「精神面」「肉体面」「経済面」で比較した統計があります。これによると、離職後の精神面では、「非常に負担が増した」「負担が増した」を合わせて65%に達しています。また、肉体面では、同様56%、経済面では、同様75%となっています。つまり、仕事を辞めてからは、すべて負担は増えていることがわかります。これらは、目の前の介護・看護状態を何とかしないといけないという状況から、離職した結果ともいえます。育児は生後1年と先を読めますが、介護はいつまでかわからない状況に起因しているのでしょう。しかし、その方策(ポイント)をご紹介します。

  1. 職場での仕事と介護の両立のためのポイント(参考:厚労省)
  • 職場に「家族等の介護を行っている」ことを伝え、必要に応じて勤務先の「仕事と介護の両立支援制度」を利用する。

勤務先の就業規則には、「介護休業・介護休暇」の制度があります。これらの制度をうまく利用しましょう。まずは上司や人事部門に相談しましょう。(次頁)

  • 介護保険サービスを利用して、自分で「介護をしすぎない」。

介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組みです。このため、多様な介護サービスが受けられるようになっています。市区町村やケアマネジャーに相談して、任せることは介護サービス事業者に任せて、本人は両親の精神的な支え者となるようにしましょう。

  • ケアマネジャーを信頼し、「何でも相談する」。

介護される人の状態を知り、その人に合った介護プランを作成するケアマネジャーは重要な存在です。ケアマネジャーの出身母体により、医療面がよくわかる人、福祉面がわかる人などがいますが、生活全体についての相談窓口にもなってくれます。なお、相性が合わない場合はケアマネジャーの変更を依頼することも可能です。

  • 日頃から「家族や要介護者宅の近所の方々等と良好な関係」を作る

介護は突然くるものです。その前に、ご近所等や知人を通して、介護生活者はどのような生活を送っているか話を聞いておくことも心の準備としてよいものとなるでょう。

  • 介護を深刻に捉えすぎずに、「自分の時間を確保する」。

介護の期間は平均5年といわれていますが、中には10年を超える人もおり、長期戦になることもあります。介護する人が、介護される側に回らないように、自分の時間を確保し、自分らしさを取り戻すことが大切です。そのために、ケアマネジャーを通して適切な介護サービスを利用し、気分転換の時間をとることが大切です。

                                以上

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