見事な作品収集の大原美術館と後楽園を訪ねて

         大原美術館と後楽園を訪ね

                              11/11/2018

                         北村社会福祉士事務所

                            代表 北村弘之

 この秋の旅行は、備前の国と姫路城を訪ねました。新横浜駅から岡山駅経由で倉敷駅迄3時間半の道のり。黄色の車体の山陽本線に乗り換え、一日目の目当ての「大原美術館」の素晴らしい作品鑑賞と倉敷美観地区の景観を楽しみました。そして二日目の朝は、大名庭園「後楽園」の散歩でした。

 大原美術館は、現クラボーの前身「倉敷紡績」を立ち上げた、地元名家の大原孫三郎氏が1930年に設立した美術館です。孫三郎氏の経済的支援で1908年に渡欧した洋画家の児島虎次郎が自分の画業の研鑽に励むとともに、西洋の素晴らしい作品を買い求めたものを公開しています。ピカソ、モネ、ロートレック、ゴ-ギャンといった多くの作家の西洋美術の他、岸田劉生、青木繁などの日本人画家の作品、濱田庄司、河井寛次郎といった陶芸家の作品、棟方志功の版画など一堂に作品を見られるのは至福の時でした。複製画ですが、帰りに、セガンティーニの「アルプスの真昼」を買い求めてきました。

 児島虎次郎は渡欧中の5年間で膨大な作品を買い求めたようですが、さすが1点だけはあまりにも高価だったため、大原孫三郎に願い出たとありました。それは、エル・グレコの「受胎告知」です。大原美術館の一室に一作品として展示してありました。

 このようにして、事業を行いながら社会的な使命に目覚め、かつ自分の片腕の存在が近くにあることは素晴らしいことです。訪れた日は平日にも関わらず、多くの見学者が作品に興味を持っていたのが大変印象的でした。そして、現在も若手に場所の提供と経済的支援を行っており、当日は、久松和子さんの作品を展示しておりました。いずれは彼女の作品を美術館で購入するということです。また訪れたい美術館の一つになりました。

 この大原美術館は、昔ながらの風情のある家並みと堀割がある「美観地区」の一角にあり、多くの観光客は、この堀割に並ぶ店での買い物を楽しんでいました。きび団子、マスカット、倉敷デニム、倉敷ガラスなど多様な商品が、個性豊かな店にありました。私達が入った店には、種類の異なるトースターがいくつも置いてありました。帰り際に店員に聞いたところ、席でパンを焼いて食べることができる店でした。但し、看板はビスケットでした。いろんな工夫をして、お客さんに楽しんでもらえる店がいっぱいでした。また、気鋭5人の備前焼の展示販売会場があったので、作品を見ていると、どこかで見た作品だと思い、作家の渡邊さんに聞いてみたところ、「美の壺」の番組で放映された”ミライノカセキ”でした。早速、ユニークな作品でしたので買い求めました。

 翌日は、天下の名園、「後楽園」を開園直後に訪ねました。十数年前に仕事で岡山に寄った際、短時間でしたが、素晴らしい庭園だったことを覚えており、今度はゆっくりと、それも観光客が少ない朝の訪問と思っていたのです。入口には菊花展も催されて朝の清々しい空気の中、大いに堪能できました。岡山市内を流れる旭川の中州と思われる場所に、岡山城の庭園として作られたものです。当時の藩主池田綱政が、家臣の津田永忠に命じて作らせたもので1700年に完成し、その後の藩主の好みで現在のようになっているとのことです。現在は岡山県が管理しています。ちなみに「岡山城」は岡山市の管理ということでした。

名前の由来は、当初岡山城の後方にあったことから、「後園」と呼ばれていたそうですが、明治時代に入り、”先憂後楽”の精神から「後楽園」と改称されたとのことでした。旭川からの水を取り込み、そして”流店”への水の引き込み、ハスの池、小山のもとを流れ、また旭川に水を戻している後楽園の風景は岡山城とともに素晴らしいものでした。

 岡山での夕食は、市内の料理店でいだたきました。瀬戸内海で獲れた「ままかり」は酢がきいたものでうまかったです。そして下津井のタコなど、岡山の酒とともいただきました。ままかりの酢漬けは、うまかったので翌日の昼食の弁当に買い求めたほどでした。

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