介護保険制度シリーズ 介護保険制度とは(1)

1.介護保険制度の創設のねらい

 これまで主に家族が担ってきた寝たきりや認知症などの介護は、核家族化、単身世帯の増加、また平均寿命の伸び、介護者の高齢化等、また残された過疎地での生活環境の変化等により、高齢者を社会全体で支える必要が生じたため1980年代から検討が始まり、2000年に「介護保険法」として施行されました。国としては、国民皆保険や年金保険等に次ぐ、5番目の社会保険制度となりました。

□経緯・意義

 高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズはますます増大する一方、核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況が変化してきました。そこで、「高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組み(介護保険)を創設」することになりました。

基本的な方針は次の通りです。

・自立支援

単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念とする。つまり、自分ができない範囲の支援を受けながら生活していくこと。

・利用者本位

利用者の選択により、多様な主体からの保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる制度。つまり、いろいろなサービスを利用者自らの選択で選べること。

・社会保険方式

給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用。給付(サービス)を受けるのに、タダでサービスを受けるのではなく、保険として一定額を負担するということ。

2.現状の対象者

介護保険は、65歳以上の第一号被保険者と40~64歳までの第二号被保険者から構成されています。一般的には、65歳以上の高齢者が対象となっていますが、40歳から64歳までの方で、特定疾病を持っていて介護が必要な方にも適用されます。2015年9月現在では、全国で14万人の人が第二号被保険者として介護サービスを受けています。なお、65歳以上の高齢者において、介護サービスを受けている人は、80歳未満では、約10%の人と少なく、80~84歳代で増加し、90歳以上になると該当年齢の60%に及んでいます。

以上     PDF 図  介護シリーズ 介護保険制度とは 1 (図)